チェーンメールを回しちゃダメ。その理由。

新・変なメールを受け取ったらさんを読んだほうがよくわかるとは思うのだが…。まあ、俺なりに。

あなたが面白いと思った笑い話を誰かにメールで転送したとする。前置きを書くのが面倒だから挨拶も説明も書かないで、さらに友達みんなにも知って欲しいけど横着して「このメールを友達に送ってください」と付け加えてみる。でも、相手にはつまらない、くだらないものに思えるかもしれない。「ふざけたメールを送ってくるな」と、怒られる可能性だってある。

チェーンメールは、読みたくもない内容が、相手の都合だけでやってくる。spam(迷惑メール)と同じで、なによりウザったい。チェーンメールを転送するのは、spamと変わらない迷惑な行為だってことだな。「迷惑メールはけしからん」と思っている人も多いでしょう。チェーンメールを転送するのは、それと同じ、けしからんことですよ。さらには、

ってことでもある。

誰かをネットワーク上から追いやる

チェーンメールがきっかけで、メールを辞めた人がいる。その19を見て欲しい。メールを始めたその日にこのチェーンメールを受け取って、親御さんにメールアカウントの解約を頼んだそうだ。

チェーンメールの中で、死んだことになっている人もいる。かの有名な「橘あゆみ」さん(最近は鈴木有紀さんだったりする場合もある)、彼女(達)がたとえ実在して、本当は生きているとしても、ネット上では、あるいは少なくともこのチェーンメールを知っている人たちにとっては、陵辱され、殺された人として認識されている。これもまた、怖いことだ(俺は彼女たちは架空の人物だと思ってます、これはあくまで、可能性の話)。

何気なく転送したメールが、誰かを殺しているとしたら……。ちょっと大袈裟だが、テキストが頼りのネット上では、こんなことも起こる。

他人に不幸を押し付ける行為

よくある「○人に送らないと、あなたは不幸になります」というチェーンメール。不幸の種類は「殺される」から「うんこが止まらない」までさまざまだが、ともかくその手のチェーンメールを転送するということは、自分の不幸を回避するために、誰か(ほとんどが友達だよね)に押し付けているってことになる。

「○人に送ると幸せになります」ってやつも結局は、「自分の幸せのために、他人を利用する」ことだ。決して「幸せをみんなに分け与えてる」わけじゃないぞ。

まあ、俺がとやかく言うより、大西科学さんの「おまじないを信じますか」というSPAM、チェーンメールについての雑文を読んで欲しい。ここに書かれた「呪いは怖くない。呪いをかける人間が怖いのだ。」という言葉が、「不幸の手紙」や「幸福の手紙」といったチェーンメールの怖さ、不愉快さを的確に言い表しているように思う。

サーバ潰しや業務妨害の片棒を担ぐ(ネットワーク資源の無駄遣い)

インターネットがまだ一部のユーザだけのものだった頃、チェーンメールやspam、ニュースグループへのマルチポストなんかは、“ネットワークの負担になる”と忌み嫌われていた。こういうものを送らないってのは、みんなが守るべきルールだった。その当時、俺は「パソコン」の「パ」の字も知らなかったから想像するしかないが、“みんなの帯域を、お前が独占するな”とか“ウザイよバカ”ってことだろう。

が、Windows 95の登場でインターネットが(俺を含め)パソコンユーザ全体のものに広がり、iモードに代表されるように接続手段が増え、生活者全てのものになりつつある現在、こうしたタブーは徐々に薄れていっているみたいだ。あるいは、タブーを知らない人が圧倒的多数になったのかも。

さらにはブロードバンドの普及によって、“ネットワークの負担”という理由は薄れていっているように見える。実感がわかなくなっているようだ。まあ、俺はまだ56Kモデムを使ってるが。

でも、テロの報復反対を呼びかけるという、共感を呼ぶチェーンメールによって、ワシントンの国連情報センターのメールサーバがパンクしかけて、業務に支障をきたしたことは知っていて欲しいと思う。

サイトに載せそびていたのだが、この件でワシントンの国連情報センターはunicwash@unicwash.org宛のメールにはすべて以下のような返事を出していたと、lalaさんからタレコミをいただいていた。やっと載せます。遅れてすみません(改行をちょっといじりました)。

The email account you are trying to reach, unicwash@unicwash.org recently 
closed due to a massive petition campaign that was started by an unknown source.  
While the intentions were admirable, this petition generated thousands of emails 
and has caused serious computer problems on our system.  
For those looking to send a petition somewhere, we suggest sending a postal 
letter to your government representative.  

We apologize for any inconvenience this may cause.

UNIC Washington
(***) 331-****

超訳すると↓こんな感じか。

【あなたが送ろうとしたアドレス“unicwash@unicwash.org”は運動主体のわからない
 署名運動によるダメージのせいで、現在メールを受け取らない設定になっています。

 この運動のせいで、こちらに幾千ものメールが届き、メールサーバに
 深刻な問題が起こっています。

 こういう署名は“郵政省メール”であなたの国の政府に送ってください。

 ご不便をお詫びします。
 国連情報センター ワシントン
 (***) 331-****】

チェーンメールでメールサーバを潰すのは、案外簡単そうだ(だからといって、よい子は真似しちゃいけません)。

あと、AB型RH-の血液を求めるチェーンメールが出回ったとき、連絡先にされた日本医科大学多摩永山病院に電話が殺到した。命に関わる仕事の業務妨害。間接的に人を殺す可能性だってあったわけだ。

それに、ワン切りの件みたいに、世の中を簡単にパニックにさせる力まで持っている。チェーンメールが原因で事件なんて、もう嫌ですよ。

「ペットショップ倒産」という古くからあるチェーンメールも、電話番号やメールアドレスが追記されて転送されているが、これも同じような理由で、鵜呑みにしてはいけない。いくら犬がかわいそうだと思っていても、疑わなくちゃいけない。悲しいことだけど。転送されたメールが、オリジナルと全く同じという保証はどこにもない。チェーンメールになっていること自体、信頼性が低いものだってことだ。

メールで誰かに呼びかけるなら

もしも本当に、メールで誰かに呼びかけをしようと思うなら、「みんなに転送して」と書いて送るだけなんて、安易な手段はとらないでください。

サイトを作るとか、街頭で署名活動するとか、他にもいろいろあると思うけど、メール以外の情報ソースを用意してください。

もちろん、チェーンメールにならないように、文面には十分注意してください。少なくとも、どこの誰が最初に書いたメールなのか、最低限の情報くらいは書いてください。

小うるさいでしょうが、それだけのエネルギーを使ってください。転送されつづけるってことは、そのぶん人の手をわたって、信頼性が落ちていくことだと思いましょう。改ざん・変更・編集ができないメールってのは、今のところないのですから。

文責:チェーンメール・コレクション
3稿 2002-08-18:リンク先の変更を修正
2稿 2002-04-01:「ペットショップ倒産」の事例を追加。今度はもうちょっと違うまとめ方をしようと思う。
初稿 2002-02-14:「チェーンメールを楽しんでる」人や、「チェーンメールにも良いものと悪いものがある」と思っている人につい説教したくなった。